2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧
世界は水彩絵具だ。と、唐突に正面から撃たれたかのように気づくことがある。 滲むように色が変化していく。今日までの繁り。実り。歩みが。少しづつ、染まっていく。晒され揺れて滲み染まり、傷口のように、もうそれは元の色ではない。 それは時に、思いも…
ひとつ、寒い日を迎えたと思ったら、あっという間に色づいた。ゆるやかな風に触られるだけで、からからと落ちていく。 こんなに軽くなったのね。睫毛のおとないだけでも、乾いた葉脈が数枚地に落ちる。 こんなに、軽くなったのね。だけれど貴方達は決して渇…
今朝は雨が降ると知っていた。 朝の支度をしていると、あまりに静かだったから、もう降っていないのだと思った。生活に怠惰なわたしは、起きてカーテンや窓を開けて、朝の光や空気や鳥の声を部屋に入れるという習慣が無いせいもあるのですが。 仕事に行くた…
公園の樹々が、緑を手放し、みるみる軽くなって。 瑞々しかった時の執着など無しに。いやそれは、自然にとっては、当たり前なのですけれど。 木肌が捲れて剥がれている銀杏の樹がありました。銀杏の幹は、賢者が長い時を経て岩や樹と成り果てたかのように、…
11月らしからぬ暑さが続きますが、少しずつ紅葉しています。 まるで身体の内側から、血が滲み出すみたいに。 …だなんて考えるのは、人間だけ。 唐紅色の葉っぱが、用水路に落ちて溜まり流れていくのを、生々しいものを見てしまったように目を逸らしたくなる…
おばあちゃんが亡くなって、ちょうど100日過ぎた日に、おばあちゃんの夢を見た。 おじいちゃんとおばあちゃんに、お水を汲んであげようとして、飲みやすいコップを探すのだけれど、 陶器のお人形を、水平に切ったようなものしか辺りになく、困惑した。 階段…